郊外/Kougai

  • artist: 山口晋似郎/Shinjiro Yamaguchi
  • format: CD
  • release: 25 October, 2008
  • price: 2,100 yen (tax incl)

  • 1. Untitled
  • 2. Untitled
  • 3. Untitled
  • 4. Untitled
  • 5. Untitled
  • 6. Untitled
シンプルで深い音の響き、内向的で閉鎖的な叙情世界のミニマルアンビエント。
ポルトガルのレーベルgrain of soundの姉妹レーベルristrettoより2004年ソロアルバム“Niju”をリリース、また自身と浦裕幸との レーベル"TWOLINES"からも意欲的に作品を発表し、国内外からも高い評価を得ている山 口晋似郎の国内初ソロアルバム。
オーディオ・ミキサーのフィードバックを用いて演奏された本作品では、 作者本人曰く、自身の身の周りの環境を描くこと、つまり楽器を用いて身辺の風景のデッサンをするということを試みている。 一見シンプルながらも、深遠な音の「点と線」が流れるように紡ぎだされ、独特な個性を放つ魅惑的作品。
やまがつくった「郊外」
中学生のときからやま、そう呼んでいる。
独特の間と虚無とは無縁のある種ポジティブな暗さ、
常に自分と対峙し、何をやろうと断固肯定し続ける覚悟。
「郊外」は、そんなやまの内面がたくさん詰まったCDだ。

浦 裕幸(TWOLINES)
山口晋似郎さんのニューアルバム「郊外」
言葉で表すのがとても難しいです。聞く、と言うだけにとどまらない、触覚を喚起させられる音楽。
いや、一口に音楽って言っちゃうのも若干抵抗があります。ヘッドフォンで聞いていると、体内にその音が物理的に沁み込んで来て、充填されているかのような気がします。CDプレイヤーだったら?その音が鳴っている空間が浸水してるかのように、山口さんの作り出す音で満たされていきます。それこそ隅々まで。満タンです。それは水の中に居るのに、肺の中がその水で満たされているのに、なぜか呼吸ができているような、そんな感覚。
そういえばエヴァンゲリオンのコクピット内がそんな感じで表現されていましたか。そしてその音は粘度が変わるように急に変化します。聞いているのだから鼓膜には感度が伝わっているけど、肌や体内にまで何やら触感が生まれているような気がするのです。圧力だとか、引力だとか、いろいろ。そんな摩訶不思議な感覚は、とても刺激的なものだけれど、不思議と静謐な質感が保たれていて、そこに山口さんの人柄が透けて見える気もするのです。ああ。やっぱり言葉にするのが難しい。でも未知なる物事に出会った時ってのは、そうなってしまうものなんだろう。きっと。

obh(Our Bubble Hour)
山形を拠点にマイペース(なのが少々寂しい)な活動を続けるcherry music。
まだ10枚にも満たないカタログ数ではあるが、既に地にしっかりと足の着いた姿勢と匂いを存分に伺わせ、「フィールドレコーディング」をベースに良質な作品を送り出している。そんなcherry musicが新たに提示すると同時に、フィールドレコーディングという概念に縛られない形でリリースされた山口晋似郎による、「郊外」と冠されたこの作品に触れてみる。そこに現出する風景のギャップと合致とが交互に入り乱れ、なんとも不思議な足跡を残してくれる。微細に響き渡る素っ気ない微ノイズの連続性からは、彼の真骨頂(?)が伺える。例えば一曲目の提示の成され方は、自分の予想の範疇を軽々と凌駕し,レーベルの新機軸を高らかに宣言していると思うのと同時に、「らしさ」も違った角度からではあるが、否応にも感じ取れる瞬間にも度々遭遇出来た。ハードコアと静謐な側面の、ある種の紙一重さを内包した、素晴らしい作品である。

zu-hause(Hurry, Hurry, Right This Way... )